初デートの前日に、話す内容をいくつも用意しておいたのに、当日は頭が真っ白になった。沈黙が流れるたびに焦って、次の話題を探すことに必死になっていた。そんな経験はないでしょうか。
会話が続かないことに悩んでいるとき、多くの人は話題の在庫が足りないせいだと考えます。ですが、初デートの会話がうまくいかない原因は、話題の数ではないことがほとんどです。苦しくなるのは、会話の目的が「気に入られること」に設定されているからです。
この記事では、その目的を「この人と合うかどうかを見ること」に置き換えると何が変わるのかを整理し、実際にどんな問いを持っていけばいいのかまでを見ていきます。
「気に入られる会話」が苦しくなる理由
気に入られることを目的にすると、会話中に自分がやっている作業は二つになります。話しながら、同時に相手の反応を採点し続けるという作業です。今の返しは薄かったのではないか、この話は退屈させていないか。そうやって自分を監視しながら話すので、目の前の相手の話がほとんど頭に入ってきません。
そして、この設定には終わりがありません。気に入られたかどうかは、その場では確認できないからです。確認できないものを目指して二時間話し続けるので、帰り道にはぐったり疲れて、内容もあまり覚えていないという状態になります。
もう一つの問題は、沈黙の扱いです。気に入られることが目的だと、沈黙は失敗のサインとして読まれます。だから焦って埋めようとして、脈絡のない質問を投げ、余計にぎこちなくなる。沈黙そのものより、沈黙を失点と数える採点表のほうが会話を壊しています。
目的を「見に行く」に置き換えると、何が変わるか
初デートは、審査を受けに行く場ではありません。編集部は、初デートは相手が自分に合うかどうかを見に行く場だと考えています。この置き換えをすると、会話中の作業が一つ減ります。採点をやめて、観察だけをすればよくなるからです。
具体的には、次のように変わります。
| 場面 | 気に入られることが目的のとき | 合うかを見ることが目的のとき |
|---|---|---|
| 会話中に考えていること | 自分の返しが良かったかどうか | 相手が何を大事にしている人か |
| 沈黙が起きたとき | 失敗として焦り、無理に埋める | 情報が一区切りついた合図として扱う |
| 質問の選び方 | 盛り上がりそうな話題を探す | 気になっていることをそのまま聞く |
| 帰り道に残るもの | 嫌われなかったかという不安 | また会いたいかどうかの自分の答え |
| 次に会えなかったとき | 自分に足りないものを探す | 合わなかったという事実が残る |
見に行く姿勢で臨むと、質問が自然に出てきます。気に入られようとしているときの質問は、相手が話しやすそうなことから選ばれますが、見に行くときの質問は、自分が知りたいことから選ばれます。後者のほうが聞く側の熱量があるので、会話が浅いところで止まりにくくなります。
そして何より、相手に選ばれるかどうかだけを気にしていた状態から、自分も選ぶ側だという位置に戻れます。この立ち位置の違いは、当日の緊張の量をはっきり変えます。
何を見るのかを、三つに絞っておく
見に行くと決めても、何を見ればいいか分からないままだと、結局その場の空気に流されます。持っていく観点は、多くても三つで十分です。
一つめは、話す量のバランスです。どちらかが一方的に話し続ける時間が長くないか。相手が質問を返してくるかどうかも、ここに含まれます。会話は技術より相互性で決まるもので、片方だけが場を持たせている関係は、続くほどしんどくなります。
二つめは、その人が何に時間とお金を使っているかです。趣味の名前ではなく、実際の使い方を聞くのがコツです。休日は何をしていますかと尋ねるより、最近いちばん時間を使ったことは何ですかと尋ねるほうが、その人の優先順位が見えます。
三つめは、意見が違ったときの反応です。合わせにいかず、自分はそこは少し違うかもしれません、と軽く伝えてみたときに、面白がって聞いてくれるのか、それとも訂正してくるのか。ここは取り繕う前の反応が出やすい場面で、初デートで見ておく価値があります。
沈黙を、埋めない練習をしておく
初デートの沈黙のほとんどは、実際には数秒です。体感では長く感じますが、相手が同じ長さを気まずいと感じているとは限りません。むしろ、沈黙のたびに新しい話題が投げ込まれるほうが、落ち着いて話せないと感じる人もいます。
沈黙が来たときの対処として、編集部が現実的だと考えているのは、話題を替えずに前の話に戻ることです。さっきの話の続きを聞いてもいいですか、と言うだけで会話は再開します。新しい話題を出すより負荷が低く、しかも相手には自分の話を聞いてもらえたという印象が残ります。
もう一つ有効なのは、目の前のものについて話すことです。飲み物、店の内装、外の天気。中身のない会話に思えますが、その場を共有していることの確認になるので、次の話題への橋渡しになります。会話を続けることそのものより、相手が返しやすい形にしておくという発想は、片思いのLINE、話題を探すより「返しやすさ」を整えるにも共通しています。
会う前に、話題ではなく前提を減らしておく
準備するなら、話題のリストより、期待値の調整のほうが効きます。初デートの段階では、まだお互いのことをほとんど知りません。それなのに、この人が良い人だったらという前提を先に置いてしまうと、実際の相手を見る前から評価が動いてしまいます。
マッチングアプリで出会った場合は、この落差が特に大きくなりやすい部分です。やり取りの段階で作り上げた像と、目の前にいる人が違うのは当たり前のことで、そこにがっかりする必要はありません。もともと自分に合う相手だけに届くようにしておく考え方は、マッチングアプリのプロフィールは、絞るほどマッチするでも触れています。
そして、会話がうまくできなかったからといって、自分に魅力がないという結論に飛ばないでください。相性の合わない組み合わせでは、どちらに問題がなくても会話は弾みません。会話の出来を自分の価値と結びつけて考えてしまうときは、自信がないから恋愛できない、は本当か。先に整えられることの考え方も参考になります。
一度で見極めようとしなくていい
ここまで見る観点を挙げてきましたが、初回ですべてを判断する必要はありません。緊張していれば普段の姿は出ませんし、それは相手も同じです。一度会っただけで分かることは、思っているより少ないものです。
初デートで確かめられればいいのは、もう一度会ってみたいと思えるかどうか、その一点だけです。楽しかったかどうかではなく、また会いたいかどうか。この基準なら、会話が盛り上がらなかった日でも自分の答えが出せます。
うまく話せなかった日があっても、それは失敗ではありません。合うかどうかを見に行った結果、まだ分からなかったというだけです。次の一回を、また同じ姿勢で迎えれば十分です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の状況への助言ではありません。
